海外子会社へのローンの金利を設定したい

グループ会社内における金銭の貸付・借入については、「借手」の信用力(デフォルトリスク)評価に基づく金利の設定が求められます。税理士法人フェアコンサルティングは、日本の観点のみならず、国外関連者所在国の観点も踏まえ、どのような金利設定が適切か、貴社グループの課税リスクを最小化するソリューションを提供します。

Naohiko Sogo

神戸大学大学院修了

東京国税局、名古屋国税局において、国税調査官として税務署所管法人と調査部所管法人の税務調査(法人税・消費税・源泉所得税等)に従事。
現在は、日本と世界各国との取引に係る移転価格案件に主に関与し、移転価格調査対応、APA(事前確認)審査対応、相互協議対応などを通じたコンサルティングサービスを提供している。

こんな状況になっていませんか?

以下のような状況においては、金利設定に係る事前検討、見直しが必要になります。

  • 新たに国外関連者への貸付が発生する
  • 新たに国外関連者からの借入が発生する
  • 銀行の見積もり(バンカビリティ・オピニオン)を基に金利が設定されている
  • 借手ではなく貸手の信用力評価に(調達コストに)基づき金利が設定されている
  • 無利子で国外関連者への貸付が実施されている
  • 無利子で国外関連者からの借入が実施されている

対応しなかった場合に起こり得るリスク

根拠のない金利や借手の信用力評価に基づかない金利設定は、将来的な移転価格課税リスクを増大させる可能性があります。

  • 国外関連者への所得移転とみなされることによる日本における貴社に対する移転価格課税リスク
  • 貴社への所得移転とみなされることによる国外関連者所在国における国外関連者に対する移転価格課税リスク

具体的な対応方法

グループ会社内の金銭の貸付・借入開始前に適正金利の設定をすることによって、移転価格課税リスクを低減できます。

  • 取引開始前の移転価格プランニング(借手の信用力評価に基づく金利設定)
  • 移転価格ポリシーの策定、導入及び運用
  • 借手の信用力評価に基づく貸付・借入単位の金利設定

準備する必要があるもの

主に以下の情報やデータから金利を検討します。

  • 借手における金融機関からの借入実績
  • 借手の信用格付(若しくは親会社の信用格付から推定された借手の信用格付)
  • ローン契約書、若しくは借入・貸付の通貨、期間、時期、固定金利/変動金利、担保等条件に係る情報

「借手」ではなく「貸手」の信用力評価に基づく金利設定は可能か?

日本においては、2022年6月10日付で改正された移転価格事務運営要領に記載の通り、対象となる関連者間の金銭消費貸借取引と通貨、時期、期間、借手の信用力その他の比較可能性に影響を与える要素が同様の状況の下にあるものにより比較対象取引の想定が可能な場合は、市場金利等を用いて想定した取引を比較対象取引とすることができるとされております。また、リスクフリー利率(銀行間取引利率等)にスプレッド(借手のデフォルト率)を加算したものを比較対象取引として用いることができるとされており、「貸手」ではなく「借手」の信用力評価に基づく金利設定が求められております。

銀行からの見積り(バンカビリティ・オピニオン)を基にした金利設定は可能か?

日本においては、これまで金融機関からの見積り/意見書に基づく金利設定ついて明確な規定やガイダンスはありませんでしたが、2022年6月10日付の移転価格事務運営要領の改正で、OECD移転価格ガイドラインに従い、「見積り」は実際に発生した取引ではないことから、一般的に独立企業原則に則った契約条件とはみなされないとされました。

フェアコンサルティングのネットワーク

フェアコンサルティンググループとして国内、国外とも多数の拠点をもっております。

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  • 国外

メディア・書籍

フェアコンサルティンググループの執筆物をご紹介しております。

  • 図説移転価格税制(Visual TP)

    本書は、移転価格税制の基礎から、独立企業間価格の算定方法、移転価格文書化、税務調査、事前確認制度、相互協議などの実務上の取扱いや留意点について、文章と図解でわかりやすく解説しています。移転価格税制の全体像を掴むのに最適な一冊です。

    定価: 6,600円
    出版社: 税務研究会出版局
    発行: 2022.11.1
    著者: 萩谷 忠 (監修), 伊藤 雄二 (監修), 税理士法人フェアコンサルティング (著)
  • 月刊国際税務2022年9月号

    「国際税務の相談室★金融取引(移転価格税制)」
    タイトル:「新移転価格事務運営要領での金銭消費貸借取引及び債務保証取引の独立企業間価格」

    定価: 年間購読のみ15,000円(税込)
    出版社: 税務研究会
    発行: 2022.9
    著者: 萩谷忠
  • 月刊国際税務2022年1月号

    「国際税務の相談室★移転価格税制」
    タイトル:「東南アジアに所在する国外関連者との取引に係る事前確認(APA)申出は行うべきか」

    定価: 年間購読のみ15,000円(税込)
    出版社: 税務研究会
    発行: 2022.1
    著者: 萩谷忠
  • 国際税務研究会

    「BEPS行動計画対応状況一覧表」
    「BEPS行動計画13対応状況一覧表」

    著者: 細田明(執筆・監修)
  • 月刊国際税務2021年5月号

    「国際税務の相談室★移転価格税制」
    タイトル:「自立した国外関連者との取引に係る独立企業間価格」

    定価: 年間購読のみ15,000円(税込)
    出版社: 税務研究会
    発行: 2021.5
    著者: 萩谷忠
  • 月刊国際税務2020年9月号

    「国際税務の相談室★移転価格税制」
    タイトル:「国際税務の相談室★移転価格税制・・キャプティブ(再)保険取引と移転価格税制」

    定価: 年間購読のみ15,000円(税込)
    出版社: 税務研究会
    発行: 2020.9
    著者: 萩谷忠
  • もう悩まない!現地駐在者直伝! アジア進出企業の税務トラブルQ&A

    アジア諸国進出企業が直面する現地国での特有の税務トラブルを、現地で実際に解決に導いてきた著者らの活きた豊富なノウハウにより解決する実践的解説書。日本企業の進出数が多いアジア 10か国(中国、香港、台湾、フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、 インド)について、「国別」に「Q&A」形式でわかりやすく解説する。

    定価: 4,000円(税別)
    出版社: 第一法規株式会社
    発行: 2018.03
    著者: 伊藤雄二、外園雅大
  • Q&A 移転価格 ドキュメンテーション 基礎知識と実務対応

    課税当局の動向、調査の着眼点を踏まえたピントのあった解説。文書化を行う上で必要な基礎知識から、最近のBEPSの動向までをわかりやすい切り口でカバー。

    定価: 3,000円(税別)
    出版社: 税務経理協会
    発行: 2015.10
    著者: 伊藤雄二、十河直彦
  • Q&A 移転価格の税務調査

    移転価格税制の基本知識から調査官の考え方、移転価格調査に対する適切な対応までQ&Aで丁寧に解説。「無形資産をめぐる国外関連取引」の増加に伴う問題点や「広告宣伝費用の負担関係」についての考え方等、現在の重要論点を整理。

    定価: 3,000円(税別)
    出版社: 税務経理協会
    発行: 2014.01
    著者: 伊藤雄二
  • 図説移転価格税制 – Visual TP(全訂第2版)

    移転価格について文字とビジュアルでわかりやすく解説。

    定価: 4,200円(税別)
    出版社: 税務研究会出版局
    発行: 2012.09
    著者: 伊藤雄二、萩谷忠
  • Q&A 移転価格税制のグレーゾーンと実務対応

    現状において最も課税リスクがあるポイントに斬りこむ!実務上の諸問題の中で、重要であるにもかかわらず明確な方向性が示されてこなかったものを取り上げ、独自の見解を示した先駆的解説書。

    定価: 2,800円(税別)
    出版社: 税務経理協会
    発行: 2012.03
    著者: 伊藤雄二、萩谷忠