
現在どのような業務を担当していますか。
私は現在シンガポールに常駐しており、日本、東南アジアリージョンの新規顧客の開拓や既存クライアントの担当などを主に行っています。移転価格税制が私の専門で、これにまつわるさまざまなコンサルティングやプロジェクトに関わっていますね。また、マーケティング関係や社内メンバーの教育、新規メンバーの採用など多岐にわたる業務を担当しています。
税理士法人フェアコンサルティング(FCT)と出会ったきっかけや、
入社を決めた理由について教えてください。
FCTとの出会いは2010年に遡ります。当時私はまだ事業会社に勤務しており、ちょうど事業部門から管理部門へ異動したしたばかりで、しかも運が良いのか悪いのか、移転価格調査が入っているタイミングでした。税務の経験ゼロの私が、事業に詳しいという理由だけで移転価格調査対応にアサインされ、右も左もわからないなか独立企業間価格の算定方法について必死で勉強したのを覚えています。移転価格調査は追徴課税という結果に終わり、その後事前確認(APA)申請をすることになりましたが、 外部アドバイザーを一新するタイミングで出会ったのがFCTで、移転価格の基礎から応用まで丁寧にご指導いただきました。
その後、私は別の事業会社に転職し、さらにFCTと同業である税理士法人で勤務することになりますが、定期的に食事会に参加するなどFCTとの交流は続いていました。私は長年希望していた海外勤務の機会を得て、2018年からシンガポールで日系企業向けの移転価格コンサルティング業務を行っていましたが、帰任が迫った2020年後半、FCTよりシンガポールに新たにグループ法人を設立し、 各国のFair Consulting Group (FCG)の拠点と共に税務コンサルティングサービスをリージョンで展開するというお話をいただき、引き続き海外でチャレンジングな仕事をしたいという思いもあり、3度目の転職を決めました。

これまでのキャリアについて教えてください。
私はもともと、製品開発寄りの海外事業部門で海外向け製品開発支援、海外事業管理、マーケティングを担当するなど税務とはまったく異なる分野で仕事をしていました。今のキャリアにつながるのは、前述した事業会社時代の移転価格調査でした。事業部門における業務とは全く異なる業務を経験しつつも、どこかビジネス全体を見て感じることができ、税務の分野ではあるものの、事業部門寄りの業務である移転価格に魅力を感じていました。
ただ、事業会社における移転価格の実務範囲はその会社のビジネス分野に限定されるため、より幅広い実務経験を積み、さまざまな論点に触れたいという思いから、移転価格コンサルタントとしてのキャリアを選択し、大手税理士法人に入所しました。それまでの事業会社での移転価格実務経験を上手く活用し、コンサルタントとしての経験を着実に積み上げ、2018年には念願の海外勤務の機会を得ます。そして現在は、 大手税理士法人でも実施できていない、国を越えたリージョンでの税務コンサルティングサービスの提供を実施しており、ひとりのコンサルタントが、ある企業グループの親会社や海外現地法人を戦略的にサポートできる体制強化を進めています。
プロジェクト体制について教えてください。
海外の移転価格プロジェクトにおいては、 主にFCGのイギリス拠点の担当者と私の2名が中心となり、必要に応じてFCTや各国税務専門家に関与してもらいながら移転価格文書化、リスクアセスメント、プランニング、ポリシー構築などを実施しています。移転価格税制は、基本的にどの国も同じコンセプトのもとで運用されていますが、関連者の定義、検証方法など細かい部分については異なることが多々あります。
また、言語の違いや各国の移転価格規定、ガイドラインの内容を理解して進める必要があり、海外の移転価格実務に精通している専門家が中心となって行わなければなりませんが、これらは FCTメンバーや各国税務専門家の協力を仰ぎつつ進めることが最も効率的かつ効果的です。一方、日本国内の移転価格プロジェクトについてはFCTメンバーを中心に進めますが、海外の観点からの検討などにおいて積極的に関与することもあり、レビュー等も行います。
新しく挑戦したい業務などはありますか?
現在Fair Consulting Tax Pte. Ltd. (FCTSG)としては、大手税理士法人では実施できていない、国を超えたコンサルティングサービスの提供を行っています。通常、国を超えたサービスは、メンバーファーム所在国のマーケットを奪うことにもつながり、また各国の異なる税法のもと専門知識を担保できないということで、各国での対応が原則になっていると思います。確かに各国税法は異なりますし、対応方法も異なりますが、我々は必要に応じてFCGの各拠点のサポートを受けることができますし、仮にFCGの拠点での対応が難しい場合は柔軟に第三者と協業することも可能です。
クライアント目線では、同じ人がグループの本社の状況を理解し、海外子会社の事情や状況を把握できていれば、戦略や対応方法の共有などがスムーズとなるため、 実務におけるニーズはかなり高い状況です。現在、FCTSGは東南アジアリージョンをメインターゲットとして活動していますが、最近ではFCGイギリス拠点とヨーロッパリージョンにおける日系企業向け移転価格コンサルティングサービスもスタートしています。今後は北米や南米も対象となることが想定され、リージョンを超えてグローバルでのコンサルティングサービス提供への挑戦も見えてきています。