2025年1月9日
令和5事務年度の「相互協議の状況」について
国税庁は、2024年11月下旬に「令和5事務年度の法人税等の調査事績の概要」を公表しました。その概要は、2023年2月1日から2024年1月31日までの間に事業年度が終了した法人の実地調査件数は減少(令和4事務年度の6万2,000件から令和5事務年度の5万9,000件)しているものの、申告漏れ所得金額は増加(7,801億円から9,741億円)、調査1件当たりの追徴税額は増加(524万1,000円から549万7,000円に増加)しており、追徴税額は直近10年間で2番目と高水準となっているというものです。
「令和5事務年度の法人税等の調査事績の概要」は、https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/hojin_chosa/index.htmをご覧ください。
今回の法人税等の調査事績では、移転価格税制の実地調査件数は不明ですが、そのうち非違があった件数は前事務年度の149件から125件と減少しています。一方、申告漏れ所得金額は392億円から512億円に増加しており、実地調査で非違があった法人1件当たりの申告漏れ所得金額も2.6億円から4.1億円に増加しています。
また、「令和5事務年度の相互協議の状況について」 https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/sogo_kyogi/sogo_kyogi.pdfにおいて、国際的二重課税排除のための移転価格課税等に係る相互協議(修正申告ではなく、更正処分が前提となります。修正申告を行った場合は原則として相互協議の申し立てができません。)の発生件数は、令和4事務年度(2022年7月1日から2023年6月30日)は58件、令和5事務年度は45件であったという点から推測すると、令和4事務年度では91件(149件-58件)の修正申告、令和5事務年度では80件(125件-45件)の修正申告が移転価格税制の実地調査において提出されたことになり、この2事務年度で計171件の国際的二重課税が排除されなかった案件が発生したものと考えられます。
移転価格税制の調査において当局から移転価格税制上の問題点を指摘されないよう、国外関連取引の分析を十分に行ったうえでローカルファイルを作成しその内容に従った、国外関連者との契約の締結や国外関連取引を行うなど、調査への備えを事前に十分行って、移転価格課税及び国際的二重課税を回避することは非常に大切です。
海外取引、特に移転価格税制に関する調査への対応は調査通知が来てからでは「時すでに遅し」です。税務調査への備えなど、ご不明な点は弊法人へお気軽にご相談ください。
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月刊国際税務2024年1月号
定価: 年間購読のみ55,000円(税込) 出版社: 税務研究会 発行: 2024.1 著者: 萩谷忠 -
月刊国際税務2023年5月号
「国際税務の相談室★移転価格税制」
タイトル:「研究開発を行っている、特許を保有している、という理由だけで、調査官から超過収益力があると指摘されています」定価: 年間購読料のみ55,000円(税込) 出版社: 税務研究会 発行: 2023.5 著者: 萩谷忠 -
図説移転価格税制(Visual TP)
本書は、移転価格税制の基礎から、独立企業間価格の算定方法、移転価格文書化、税務調査、事前確認制度、相互協議などの実務上の取扱いや留意点について、文章と図解でわかりやすく解説しています。移転価格税制の全体像を掴むのに最適な一冊です。
定価: 6,600円 出版社: 税務研究会出版局 発行: 2022.11.1 著者: 萩谷 忠 (監修), 伊藤 雄二 (監修), 税理士法人フェアコンサルティング (著) -
月刊国際税務2022年9月号
「国際税務の相談室★金融取引(移転価格税制)」
タイトル:「新移転価格事務運営要領での金銭消費貸借取引及び債務保証取引の独立企業間価格」定価: 年間購読のみ15,000円(税込) 出版社: 税務研究会 発行: 2022.9 著者: 萩谷忠 -
月刊国際税務2022年1月号
「国際税務の相談室★移転価格税制」
タイトル:「東南アジアに所在する国外関連者との取引に係る事前確認(APA)申出は行うべきか」定価: 年間購読のみ15,000円(税込) 出版社: 税務研究会 発行: 2022.1 著者: 萩谷忠 -
国際税務研究会
「BEPS行動計画対応状況一覧表」
「BEPS行動計画13対応状況一覧表」著者: 細田明(執筆・監修) -
月刊国際税務2021年5月号
「国際税務の相談室★移転価格税制」
タイトル:「自立した国外関連者との取引に係る独立企業間価格」定価: 年間購読のみ15,000円(税込) 出版社: 税務研究会 発行: 2021.5 著者: 萩谷忠 -
月刊国際税務2020年9月号
「国際税務の相談室★移転価格税制」
タイトル:「国際税務の相談室★移転価格税制・・キャプティブ(再)保険取引と移転価格税制」定価: 年間購読のみ15,000円(税込) 出版社: 税務研究会 発行: 2020.9 著者: 萩谷忠 -
もう悩まない!現地駐在者直伝! アジア進出企業の税務トラブルQ&A
アジア諸国進出企業が直面する現地国での特有の税務トラブルを、現地で実際に解決に導いてきた著者らの活きた豊富なノウハウにより解決する実践的解説書。日本企業の進出数が多いアジア 10か国(中国、香港、台湾、フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、 インド)について、「国別」に「Q&A」形式でわかりやすく解説する。
定価: 4,000円(税別) 出版社: 第一法規株式会社 発行: 2018.03 著者: 伊藤雄二、外園雅大 -
Q&A 移転価格 ドキュメンテーション 基礎知識と実務対応
課税当局の動向、調査の着眼点を踏まえたピントのあった解説。文書化を行う上で必要な基礎知識から、最近のBEPSの動向までをわかりやすい切り口でカバー。
定価: 3,000円(税別) 出版社: 税務経理協会 発行: 2015.10 著者: 伊藤雄二、十河直彦 -
Q&A 移転価格の税務調査
移転価格税制の基本知識から調査官の考え方、移転価格調査に対する適切な対応までQ&Aで丁寧に解説。「無形資産をめぐる国外関連取引」の増加に伴う問題点や「広告宣伝費用の負担関係」についての考え方等、現在の重要論点を整理。
定価: 3,000円(税別) 出版社: 税務経理協会 発行: 2014.01 著者: 伊藤雄二 -
図説移転価格税制 – Visual TP(全訂第2版)
移転価格について文字とビジュアルでわかりやすく解説。
定価: 4,200円(税別) 出版社: 税務研究会出版局 発行: 2012.09 著者: 伊藤雄二、萩谷忠 -
Q&A 移転価格税制のグレーゾーンと実務対応
現状において最も課税リスクがあるポイントに斬りこむ!実務上の諸問題の中で、重要であるにもかかわらず明確な方向性が示されてこなかったものを取り上げ、独自の見解を示した先駆的解説書。
定価: 2,800円(税別) 出版社: 税務経理協会 発行: 2012.03 著者: 伊藤雄二、萩谷忠
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2024/3/27 日本税理士会連合会主催 「令和5年度全国統一研修会 国際取引に関する税務調査について~寄附金と移転価格~」についてマルチメディア研修を行いました。
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2022/7/22 札幌国税局職員、札幌市内税務署職員向けに、「非居住者及び外国法人の不動産取引に係る課税問題等」について研修を行いました。
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2023年6月2日
2022/3/7 ~ 4/6 福岡国税局職員向けに、「外国子会社合算税制の適用除外基準、移転価格税制の基本」についてWebinarを開催しました。
「国際税務の相談室★金融取引(移転価格税制)」
タイトル:「独立企業間価格の算定に、金融ツールを用いることができるのか」