海外出向者の派遣にかかわる税務を相談・依頼したい

日本の法人税調査において、調査官の海外出向者の給与負担は「海外子会社への寄附金である」との指摘が大変多く、この指摘に対する準備は極めて重要です。我々、税理士法人フェアコンサルティングは、「海外子会社寄附金」における貴社グループの課税リスクを最小化するソリューションを提供します。

Keiko Kato

日本の総合商社勤務後、1997年より香港およびシンガポールに在住。日系および地場系企業において幅広い業務経験を重ね、2014年から公正諮詢香港有限にて日系企業サポートを行う。会計記帳、法定監査、税務申告、税務調査対応、内部監査、工場原価計算システム作成、人事労務サポート等日系企業の会社運営に関する業務をサポートする。また、日本貿易振興機構香港事務所にて、2015年から現在まで香港における中小企業海外展開現地支援プラットフォーム・コーディネーターを務め、日本の中小企業が海外進出する際の事業展開や現地での各種支援に従事している。

こんな状況になっていませんか?

以下の状況においては、合理的な基準による給与負担割合の設定、海外出向に係る社内規定の整備及びそれに基づく契約書の締結が必要になります。

  • 出向契約書を作成していない、海外出向に係る社内規定の取り決めがない
  • 給与の一部を親会社が負担しているが、給与負担割合、給与格差補填金に合理的な根拠がない
  • 出向契約書はあるが、出向先会社が経営不振のため、給与負担割合を変更(親会社負担を増額)した
  • 出向先法人の従業員に出向者の給与総額を知られたくないため、現地同職位の支給額を現地支払いとし、差額を留守宅給与としている

対応しなかった場合に起こり得るリスク

海外子会社への出向者負担金の支払は、合理的な理由がなければ国外関連者に対する寄附金として指摘される可能性があり、出向者給与負担金の合理的基準を持たないまま、出向元が負担するのは将来的な課税リスクを増大させる危険性があります。

  • 原則、出向者給与は全額を出向先子会社が負担することになるが、親会社負担部分が国外関連者に対する寄附金として指摘されるリスク
  • 給与格差補填金について、合理性のない部分が国外関連者に対する寄附金とみなされるリスク
  • 親会社負担の増額分が子会社支援とみなされ国外関連者に対する寄附金として指摘されるリスク
  • 各国での支給額が問題ではなく、出向者給与の負担割合によっては国外関連者の寄附金として課税されるリスク

具体的な対応方法

海外出向に係る給与負担の合理的な基準を事前に検討するとともに、形式的に明確にすることによって、国外関連者に対する寄附金課税リスクを低減できます。

  • 海外出向に係る社内規定を整備し、それに沿った出向契約書を作成して形式的に明確にし、それらに基づき支給する
  • 出向者と同職位の給与水準と現地同職位の給与水準を比較、また公的なデータによる類似した同職位の給与水準を比較することで、較差補填金(負担割合)の合理性を確保する
  • 出向者が関わる国外関連取引がある場合、給与の支給方法、出向負担方法を整理するとともに、その国外関連取引と一体取引として移転価格の文書化をすることにより、寄附金課税に対応する
  • 出向者と同職位の給与水準と現地同職位の給与水準を比較、また公的なデータによる類似した同職位の給与水準を比較することで、較差補填金(負担割合)の合理性を確保する

準備する必要があるもの

国外関連者に対する寄附金との指摘を受けないためにも、以下のような文書等を作成し、準備しておく必要があります。

  • 社内規定
  • 出向契約書
  • 負担割合の合理性を示す証拠書類
  • 移転価格文書化(ローカルファイルの作成)
  • 価格調整条項の契約の整備、価格調整の実施

国内出向に係る規定はあるが、国外出向に係る社内規定は定めていないが、必要か?

出向先の現地との給与格差などがある場合、合理的な格差補填金の算定方法を明確にする社内規定を設け、それに基づく契約書の締結、決済が必要です。

親会社が出向契約書に基づく出向者給与負担割合と異なる負担をした場合、課税上の問題はあるか?

変更に係る合理的な理由がない場合、国外関連者に対する寄附金と認定されるリスクがあります。

非居住者である出向者に対して国内で支給するいわゆる留守宅手当について、源泉徴収の義務はないか?

国外源泉所得に該当するため、日本での源泉徴収義務はありません。

非居住者である出向者は現地支給の給与のみを居住地国で申告しているが、問題ないか?

居住地国での個人所得を全世界所得としている場合が多く、その場合、日本で支給する留守宅手当についても合算して申告する必要があります。

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メディア・書籍

フェアコンサルティンググループの執筆物をご紹介しております。

  • 図説移転価格税制(Visual TP)

    本書は、移転価格税制の基礎から、独立企業間価格の算定方法、移転価格文書化、税務調査、事前確認制度、相互協議などの実務上の取扱いや留意点について、文章と図解でわかりやすく解説しています。移転価格税制の全体像を掴むのに最適な一冊です。

    定価: 6,600円
    出版社: 税務研究会出版局
    発行: 2022.11.1
    著者: 萩谷 忠 (監修), 伊藤 雄二 (監修), 税理士法人フェアコンサルティング (著)
  • 月刊国際税務2022年9月号

    「国際税務の相談室★金融取引(移転価格税制)」
    タイトル:「新移転価格事務運営要領での金銭消費貸借取引及び債務保証取引の独立企業間価格」

    定価: 年間購読のみ15,000円(税込)
    出版社: 税務研究会
    発行: 2022.9
    著者: 萩谷忠
  • 月刊国際税務2022年1月号

    「国際税務の相談室★移転価格税制」
    タイトル:「東南アジアに所在する国外関連者との取引に係る事前確認(APA)申出は行うべきか」

    定価: 年間購読のみ15,000円(税込)
    出版社: 税務研究会
    発行: 2022.1
    著者: 萩谷忠
  • 国際税務研究会

    「BEPS行動計画対応状況一覧表」
    「BEPS行動計画13対応状況一覧表」

    著者: 細田明(執筆・監修)
  • 月刊国際税務2021年5月号

    「国際税務の相談室★移転価格税制」
    タイトル:「自立した国外関連者との取引に係る独立企業間価格」

    定価: 年間購読のみ15,000円(税込)
    出版社: 税務研究会
    発行: 2021.5
    著者: 萩谷忠
  • 月刊国際税務2020年9月号

    「国際税務の相談室★移転価格税制」
    タイトル:「国際税務の相談室★移転価格税制・・キャプティブ(再)保険取引と移転価格税制」

    定価: 年間購読のみ15,000円(税込)
    出版社: 税務研究会
    発行: 2020.9
    著者: 萩谷忠
  • もう悩まない!現地駐在者直伝! アジア進出企業の税務トラブルQ&A

    アジア諸国進出企業が直面する現地国での特有の税務トラブルを、現地で実際に解決に導いてきた著者らの活きた豊富なノウハウにより解決する実践的解説書。日本企業の進出数が多いアジア 10か国(中国、香港、台湾、フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、 インド)について、「国別」に「Q&A」形式でわかりやすく解説する。

    定価: 4,000円(税別)
    出版社: 第一法規株式会社
    発行: 2018.03
    著者: 伊藤雄二、外園雅大
  • Q&A 移転価格 ドキュメンテーション 基礎知識と実務対応

    課税当局の動向、調査の着眼点を踏まえたピントのあった解説。文書化を行う上で必要な基礎知識から、最近のBEPSの動向までをわかりやすい切り口でカバー。

    定価: 3,000円(税別)
    出版社: 税務経理協会
    発行: 2015.10
    著者: 伊藤雄二、十河直彦
  • Q&A 移転価格の税務調査

    移転価格税制の基本知識から調査官の考え方、移転価格調査に対する適切な対応までQ&Aで丁寧に解説。「無形資産をめぐる国外関連取引」の増加に伴う問題点や「広告宣伝費用の負担関係」についての考え方等、現在の重要論点を整理。

    定価: 3,000円(税別)
    出版社: 税務経理協会
    発行: 2014.01
    著者: 伊藤雄二
  • 図説移転価格税制 – Visual TP(全訂第2版)

    移転価格について文字とビジュアルでわかりやすく解説。

    定価: 4,200円(税別)
    出版社: 税務研究会出版局
    発行: 2012.09
    著者: 伊藤雄二、萩谷忠
  • Q&A 移転価格税制のグレーゾーンと実務対応

    現状において最も課税リスクがあるポイントに斬りこむ!実務上の諸問題の中で、重要であるにもかかわらず明確な方向性が示されてこなかったものを取り上げ、独自の見解を示した先駆的解説書。

    定価: 2,800円(税別)
    出版社: 税務経理協会
    発行: 2012.03
    著者: 伊藤雄二、萩谷忠